この2,3年、当協会は、将来を見据えて活動の基盤を見直し、改革改善を進めてきた。
今年度は、この改革改善を進めてきた基盤を基に、いよいよ実績を上げる時を迎えた。しかし、実績はそう簡単には上がらない。ねばり強く取り組むことが重要である。それにはさらに改革改善を進めると同時に、本支部が情報を共有し、一体となって活動を展開することの必要はますます高まっている。
具体的には、下記の項目に取り組むが、今年度は、公益社団法人への移行を果たすことが最重要課題となっている。公益社団法人への移行は、単なる移行ではなく、名実ともに公益法人としてふさわしい協会に生まれ変わることが求められており、移行趣旨を十分に理解して取り組むことが大切である。
バブル経済崩壊後、公共工事、民間工事ともに建設投資が年々減少しており、減少したパイをいかに獲得するか、建設業は各社の競争が激しくなってきている。それに伴い建設コストと建設マネジメントに対する社会的関心と要請は、ますます強まっている。
この分野を専門領域とする当協会の役割は、一層重要性を増しており、専門知識や技術の開発普及や人材の育成をはじめとする協会活動を拡充させて建設産業の進歩発展に寄与することが期待されている。
今年度は、実績を上げるべき課題を中心に事業計画を組み立てた。
平成24年度、公益社団法人への移行を目指し、定款、規則等の改訂、申請書類の提出、関係官庁との折衝をおこなう。また当協会の事業は、人材育成事業、調査研究情報発信事業、第三者評定事業の3事業とし、事業内容を明確化して収支相償を図るとともに、公益社団法人の会計処理への対応を進める。
今年度から会費が値下げされ、入会しやすい会費となる。
この会費値下げをてこにして入会勧誘策を立案し、本支部が一体となって会員の増強に取り組む。具体的には、講習会等で個々に入会を呼びかけるとともに、建築積算と建築コストに関心のある会員や社員が所属している団体や個別企業に働きかける。また学校で建築積算を受講した学生に呼びかけ、若年層を積極的に勧誘する。
非会員の建築積算士に対しては、さらに入会策を講じ、会員化を一層促進する。
建築積算士の更新者は年々減少し、ピーク時に比べて約1/3となった。特に最近は、離職、高齢化などを背景に急減している。また建築コスト管理士は、毎年受験者が少なく伸び悩んでいる。資格者の数は、資格者の活用だけでなく、当協会の活動にも影響を及ぼすため、資格者の増加・確保は喫緊の課題となっている。
今年度は、建築積算士および建築コスト管理士ガイドブックの発刊をはじめ、受験に有効となる講習会を開催するなど受験しやすい環境を整備し、新規資格者の誕生につなげる。
資格者の活用を推進するには、資格が世間に認知されていることが必要であり、そのためのブランディング戦略を立案し展開する。また発注者に対し、資格の認知度アップに取り組むと同時に、資格者の活用領域を開拓する。
学校教育の支援は3年目を迎えるが、さらに推進体制を整備するとともに広くPRし、新規に講座を開設する学校を開拓する。
今年度から学校教育用のテキストは、建築積算士ガイドブックとの整合性を図って作成されており、教育内容や試験問題等を見直して充実を図る。
学校教育の支援は各支部の派遣講師が重要な役割を果たすため、派遣講師の養成をおこなうとともに派遣講師の交流会、勉強会などを開催し派遣講師の増強とレベルアップを図る。
なお建築積算士補の試験に合格した学生には、登録によって資格を取得することを強く働きかける。
定着してきた会員交流会は、懇親会、現場/工場見学会、勉強会の3種類があるが、さらに内容を充実させて活発化を図り、会員サービスの向上に努める。
また今年度は、本部のホームページに会員サイトを構築し、会員との情報交換の場を設けるとともに、会員への有効な情報提供などをおこない、非会員との差別化を図る。
建築積算は、社会経済環境の変化を背景に領域を拡大させながら進化しており、これを受けて当協会は建築積算をPCM(プロジェクトコストマネジメント)と定義している。
今年度は、昨年度に引き続きPCMの領域を研究し、複数の分科会を設置して関連する知識と技術の調査研究と情報発信をおこなう。
また今年度は、PCM関連知識および技術をテーマとしたシンポジウム等の開催を企画し、若手のPCM研究者の育成に取り組む。
昨年度に引き続き、現行の講習会および研修会等を検証し、講習会テキスト等を整備し、全国一斉講習会の開催を検討する。また講習会等の案内先データを整備し蓄積する。
今年度は特に新規資格者誕生につながる講習会を早期に立案開催し、多くの受講者を獲得する。
当協会は、昨年度、第三者性の高い公益法人の社会的使命として、建築数量や建築コストに関係する諸問題に対し、相談室を開設した。
今年度は、実践を踏まえて実施方法等の改善に取り組む。
昨年度に引き続きBIMなど先端的情報システムの調査研究をおこない、建築積算の将来技術の可能性を検討する。
最近はホームページの利活用が協会活動にとって重要性を増しており、昨年度は、本部のホームページをリニューアルした。今年度は、本部ホームページの改善と追加開発、さらに支部ホームページとの連携について検討をおこなう。
また21年度から更新講習用にeラーニングを導入したが、今年度は改訂期であり、新規のコンテンツを開発し提供する。
eラーニングは今後当協会の特徴的な教育手段として位置づけ、CPDをはじめとするさまざまな能力開発に有効となるコンテンツを開発し、広く提供していきたい。
今年度は、eラーニングの提供方法などを改善するとともに、建築積算の知識や技術を普及するコンテンツの検討と開発をおこなう。
昨年度に引き続き建設関連における環境事業および技術の動向調査をおこなうとともに、対象となる環境コストの内容や課題を整理し、当協会の環境コストに対する取り組み方を検討する。
また今年度は、昨年度東京で開催した環境セミナーを大阪で開催する。
当協会はPAQS(太平洋アジア積算士協会)を中心に国際活動を展開しているが、今年度もPAQSとICEC(国際コストエンジニアリング協議会)に参加し、加盟各国と友好を深めるとともに海外動向を調査研究し、情報発信する。
当協会の社会的な認知度の向上は、日常の協会活動だけではなく、資格者の活用、会員の増強、PCM領域の開拓などに欠かせないことであり、今年度は、当協会のブランディング戦略を立案し実施に着手する。