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事業計画

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公益社団法人 日本建築積算協会の情報を開示いたします。
平成29年度事業計画

  我が国では、少子高齢化が進展する中で、新しい社会の枠組みづくりが進められており、女性活躍への環境づくりとワークライフバランス改善への諸施策も具体化しつつある。また、先進国における政治の混乱などの国際情勢の変化、特に貿易に関わる諸問題は、我が国経済への潜在的なリスクとなるものと考えられる。当協会も、このような社会環境からの影響を避けられず、新しい時代に向けた経営の革新が必須となっている。

  建設業界においては、担い手確保を含めた再生・発展を目指し、官民一体となって発注および建設工事費の適正化、あるいは労働環境の改善に取り組んでいる。一方、建設マーケットは、首都圏を中心に一定の活況を呈してはいるものの、地域間格差も拡大傾向にあ り、将来的にも決して楽観できる状況にはない。

  当協会は、これらの変化に対応し建設産業の健全化に貢献することが、公益社団法人としての責務であると認識している。

  今年度は、人材育成・認定事業 、調査研究・情報発信事業および第三者評価評定・相談事業という、いずれも建築コスト技術者の能力向上と活躍につながる活動を通じて、社会貢献を果たすとともに、会員・資格者へのサービス向上を目指して、以下の活動を展開する

1.人材の育成

  東日本大震災以降の建設価格高騰は、入札不調あるいはプロジェクトの遅延等を引き起こし、改めて積算およびコストマネジメントの重要性を顕在化させることとなった。官民発注者を初めとして、建設産業に携わる全ての領域において、コストへの関心の高まりとともに人材育成の必要性が認識されている。

  今年度は、資格認定制度を核とした総合的な人材育成体系の活用を軸にして、コスト技術者のレベルアップと活躍への環境づくりなど、多面的な活動を展開する。

  (1)学校教育

  建築積算士補認定講座を核とした学校教育は順調に進展しているが、さらに、新しい社会の枠組みづくりが進められている。実施校の拡大を目指した活動を進める。特に、核となる大学への導入および工業高校への普及を目指す。また、講師の確保・育成策の検討を行う。

  コストマネジメントに関する特別出前講座については、大学を中心に広く展開する。

  支部においては、講師交流会を継続開催する。学校との連携を深め、情報交換により講義内容のレベルアップを図るとともに、建築積算士補登録の推進および建築積算士受験を促進させる。

  建築積算士補に対し、インターンシップ対象企業の拡大を含めた就職活動支援を継続推進する。また、建築積算士受験を促進するため、受験に効果的な学習用動画コンテンツを開発する。

  学生向けリーフレット「積算は建築を支える仕事」の活用も、さらに進めていく。

  (2)社会人教育

  「人材育成体系」を活用し、各企業の社員教育ニーズを的確に把握し、実効性のある教育体系と研修機会の提供を進める。建設産業各分野において、コストマネジメントに精通した人材が求められており、基礎となる積算技術とともに、コストからプロジェクト全体にいたるまで、幅広くマネジメントに関するコンテンツを充実させていく。

  コスト分野においても、新しい時代に対応できる人材の育成が急務となっている。全国支部開催講習会をよりグレードアップするとともに、マネジメント系テーマで本部フォーラムを開催する。PCMシリーズⅦ「建築技術者のための原価管理ガイドブック」、Ⅷ「プロの引き出し(その1)」をベースにした講習会も新たに実施していく。

  受講者についても、積算・コスト分野に限らず、幅広い職域および業務分野を対象として案内する。既成概念を排した魅力ある企画やネーミングについての検討を行うとともに、研修方式もグループディスカッションやICT活用といった多様な方法を検討実施する。

  また、支部の財政安定化に資するよう収益性を高めるための検討を進める。

  全国開催講習会については、順次 e ラーニング化への検討も進める。

  各支部においては、支部企画による各種講習会とともに、現場見学会・工場見学会といった多くの交流・研修機会を提供する。

  (3)資格認定事業

  当協会の資格認定事業は、資格を付与して終わりとする売切り型ではなく、資格者に対し生涯にわたる研修機会や情報の提供をおこない、実務における技術・知識の向上をはかり続ける「生涯継続型支援事業」を目指している。この目的は、変化の激しい時代の中で、資格者が的確に時代の求めるニーズを先取りし、自己の実力を向上させて活動領域を拡大して活躍できるようにすることである。

  「資格取得はゴールではなく、能力向上をはかっていくスタート地点である」というコンセプトにもとづき、「資格と教育研修パッケージによる人材育成システム」の確立をはかり、活用を進めていく。コスト技術者のキャリアパスを明確にし、企業の人材育成ニーズと個人の自己成長ニーズに合致した資格としての認知度を高め、資格の実質的な価値の向上を目指す。資格取得と「人材育成体系」を活用した研修システムにより、スキルアップしたレベルの高いコスト技術者の育成を目指す。

  交流プラットフォーム「若木塾」を活用し、E メールにより当協会と資格者のコミュニケーションを推進し、資格保有へのモチベーション向上と資格者のスキルアップを推進する。

  建築積算士補の魅力度アップのため、試験問題の範囲と出題形式の検討を行う。また、登録更新制度についても見直し検討を行う。

  建築積算士補および若い世代が、建築積算士を受験しやすい環境づくりに向けて、有効な施策を多面的に検討する。

  (4)CPD

  当協会のCPD(継続能力開発)制度は、会員と資格者を対象としている。そのなかで、建築コスト管理士は、CPD単位取得が資格登録更新の必要条件となっている。

  「資格と教育研修パッケージによる人材育成システム」を核として、講習会等の研修コンテンツを充実させ、当協会の「資格取得はゴールではなく、能力向上をはかっていくスタート地点である」というコンセプトのもと、コスト技術者の継続的スキルアップを着実に実現していく。

  CPD単位登録Webシステムについても、より使いやすくなるよう、サポート体制を充実させる。

  CPD制度の運用に関しては、建築士会・CM協会をはじめ、他団体との連携を一層進めていく。

  

  (5)eラーニング

  最近のインターネット環境は、情報携帯端末の進化とともに革新的な利用が進んでおり、教育への活用もさまざまな事例がみられる。特にeラーニングは、場所と時間の制約が少なく、従来の集合研修と比較してもコストパフォーマンスにも優れている方式である。

  当協会は、平成26年度から建築積算士更新講習を e ラーニング方式に変更し、DVD視聴や会場受講といったオプションも揃え、受講者の利便性を高めている。また、パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットの使用も可能にしており、この実績を当協会が行う様々な講習に活用していきたい。

2.調査研究の充実と情報発信の促進

  コストマネジメントは、社会経済環境の変化を背景に、領域をますます拡大させながら進化しており、調査研究の課題は多い。

  ストック活用、建設市場のグローバル化、環境への配慮あるいはICTやAIの活用などの社会的ニーズを踏まえ、PCM委員会・国際委員会・情報委員会・環境委員会において、重点テーマを設定し調査研究活動を進める。

  長年の懸案事項であった、木構造の積算に関する調査研究を開始する。また、設備工事に関するコストマネジメントについても、掘り下げたい。

  刊行から6年を経た「建築コスト管理士ガイドブック」は、平成32年度刊行を目指して大幅改訂を進める。

  海外の有益な情報を会員に発信するための調査研究を行い、また、国際活動への参画を進めていく。

  コストマネジメントへの活用という視点から、BIMについての多角的な研究を進め、情報発信していく。

  環境関連の情報検索システムを稼動させる。また、環境配慮についての様々な取り組みに関する環境セミナーを開催する。

  会誌「建築と積算」は、若者とベテラン双方への情報発信を行うよう、誌面を大幅に刷新する。また、特集記事を充実させる。

  公益社団法人全国解体工事業団体連合会から委託された「解体工事積算基準」については、平成28年度には「解体工事標準内訳書式」「解体工事数量積算手法」を完成させたが、引き続き教育普及等への活動を検討する。

3.評価評定および相談事業の推進

  第三者性の高い公益社団法人として、建築コストの諸問題に関して、評価評定・相談事業を推進することは社会的使命であり、また、資格者の活躍を広報するための手段として有効であると考えている。

  本部においては、単なるコスト検証ではなく、より複雑で多様なマネジメントを要求される依頼が増加している。このような難易度の高いコストマネジメントの依頼を受託するために、責任者となる人材の確保育成策を引き続き検討する。

  各支部の受託環境の整備と必要な人材の育成策は重要な課題であり、継続して検討を行う。積算数量書活用方式の普及をみながら、公共工事における数量検証業務のニーズについても検討する。

4.持続可能な財政基盤の構築

   「事業計画委員会」により、既成概念と組織間の利害関係を排した事業構造の抜本的な見直しを進め、公益社団法人に最適なビジネスモデルを検討し確立していく。

   予算管理システムにより、的確な予算設定と収支管理の実施が可能となり、収支バランスは大幅に改善されてきたが、今後も厳しい決算が続くと予測され、さらなる収支改善努力を継続する。

5.協会のブランディング

  当協会のブランディングは、単なるPRではなく、協会にとって重要な相手(法人、個人)に協会の特徴を明確に示し、相手先の関心を高めると同時に信頼関係を築き、協会の良き理解者となってもらうための活動である。

  平成23年度から、この活動を「ペリカン大作戦」と名付けて、本部支部の役員が企業・機関・団体を個別訪問し、協会活動を紹介するとともに訪問先からの要望等をお聞きしている。

  今年度は、原点に立ち戻って、訪問対象を重点的に定め、訪問先との活発な意見交換を進める。特に、「人材育成体系」を活用し、企業の人材育成ニーズとのマッチングを行う。

  また、新規分野および職域に対しても、重点を絞り訪問活動を行う。

  「経営事項審査」への資格者採用に向けて、長期にわたり粘り強い活動を検討していく。

  建築士会など関連5団体(J5)との連携を図り、資格者の増加と活動領域の拡大を目指す。

  公共工事における設計業務あるいはCM(コンストラクション・マネジメント)業務のプロポーザルにおいては、意匠・構造・電気・機械といった従来からある分野に加え、「積算」または「コスト管理」を第5の分野として明示するケースが急増している。それに伴い、建築コスト管理士および建築積算士が資格要件になるプロジェクトも多く見られるようになり、着実に資格の認知度が高まっているが、さらにこの流れを加速するような活動を積極的に展開し、資格者がその社会的使命を実感できる環境をつくっていく。

6.会員の増強

  新規会員を獲得するために、効果的な入会勧誘策を検討し、本部・支部が一体となって会員の増強に取り組む。建築積算士合格者を対象として、入会促進を行う。よりきめ細かい会員サービスの提供を検討し、継続的に実行していく。

  女子会「積女 ASSAL」開催の交流会等のイベントを引き続き展開し、幅広い分野や第一線で活躍されている立場の女性が連携できる仕組みを目指す。今後は、支部への展開により、女性会員および女性資格者の増強を進めていく。

  賛助会員に対する会員メリットを明確にし、活発な支部活動により新規賛助会員の増加をはかっていく。

  学生会員への効果的なサービスを検討し、増強への活動を進める。

7.ホームページおよびICTの活用促進

  本部ホームページの活用分析を行い、より効果的な情報発信に向けて、継続的な改善を進める。

  会員および資格者への情報発信手段としてメールをさらに活用し、早いレスポンスをもってきめ細かい有益情報の提供を推進する。

  本部・支部間の会議や各委員会の開催については、Web会議システムをより効果的に活用していく。

  公益団体としてのブランディング向上を目指して、社会に貢献する魅力あふれる協会イメージを発信していく。

平成29年度事業計画項目と担当委員会
  • [1]事業計画委員会
    • (1)協会のミッションとビジョンを内外に発信
    • (2)財政安定化への具体策検討(公益的ビジネスモデル策定)
    •    3か年サイクルでの多角的収益構造

  • [2]会員委員会
    • (1)会員メリットの向上と入会キャンペーンによる会員増強
    • (2)学生会員増強策の検討・実施
    • (3)賛助会員へのサービス向上による入会促進
    • (4)女性・若者および新たな職域への入会促進策の検討・実施

  • [3]広報委員会
    • (1)対外広報の充実(メディア、関連団体、行政)
    • (2)会誌「建築と積算」コンテンツのさらなるレベルアップ
    • (3)各種ICTを活用した効果的な情報発信(HP、メール他)

  • [4]人材育成委員会
    • (1)資格と教育研修パッケージによる人材育成システム+キャリアパスの構築
    •    人材育成体系の活用展開
    • (2)生涯継続型支援事業(CPD)の推進 【財政安定化への貢献】
    •     ① CPDコンテンツの開発・整備(企画の充実)
    •       コンテンツのレベルアップと多様化
    •       双方向型の研修等、慣例に囚われない方式の検討
    •       ネーミングと魅力的な講師の確保
    •     ② 全国開催講習会の推進
    •       魅力ある講習会へのブラッシュアップ(内容の見直し)
    •     ③ 既存講習会の他支部水平展開(ノウハウの共有)
    •     ④ 賛助会員増加への連携(勉強会・人財バンク)
    •     ⑤ e ラーニング化およびスカイプ活用の検討・実施
    • (3)資格者増加(受験者・登録者)への対策推進
    •     ① 試験問題の質の向上とテキスト内容の検討
    •     ② マーケット分析と企業ニーズ把握による受験者拡大推進
    •     ③ 建築積算士補の建築積算士取得推進(学校との連携)
    •       受験者向け学習コンテンツ(動画)の作成
    •     ④ 資格者とのコミュニケーション・プラットフォーム
    •       「若木塾」の活用と展開
    • (4)建築積算士更新講習受講率向上への継続的取組み
    • (5)建築コスト管理士ガイドブックの大幅改訂(平成32年度刊行予定)
    • (6)設備コスト管理ガイドブック編纂の検討
    • (7)人財バンクの活用向上
    • (8)講習会参加者への効果的広報の検討・実施
    • (9)他団体との提携

  • [5]教育委員会
    • (1)新規講座開設校の開拓(工業高校、核となる大学)
    •    講座開設への環境整備(指導要項、柔軟な授業編成)
    • (2)建築積算士補合格者の資格登録の促進
    • (3)テキストおよび試験問題の継続的改善(評議委員会との連携)
    •    補助教材の整備
    • (4)講師交流会による学校との連携強化
    •    講義内容のレベルアップ、資格登録促進
    • (5)講師の確保育成体制の検討

  • [6]PCM委員会
    • (1)木構造を対象とする積算手法の構築
    • (2)広範囲なテーマで、積算基準の不備を補足する手引き作成


  • [7]情報委員会
    • (1)BIM活用に関する研究
    •    LOD、LOI、コスト要素の体系化等

  • [8]環境委員会
    • (1)環境関連の行政情報検索システムの稼動
    • (2)環境セミナーの開催
    • (3)環境関連情報の収集・活用

  • [9]国際委員会
    • (1)海外QS団体・企業の活用についての調査研究と会員への情報発信
    • (2)PAQS国際会議のサポートと国際活動推進
    •    YQSファンドの検討
    • (3)RICSとの連携推進
    •    建物評価基準ICMSへの参画
    •    ジョイントシンポジウム開催

  • [10]評価評定委員会
    • (1)評定評価事業の支部への展開策検討
    • (2)本部・支部における人材の育成検討
    •    OJT具体策検討、啓発セミナーの開催(事例)

  • 【特別委員会】

  • [1]ペリカン推進委員会
    • (1)重点訪問対象先の選定とコミュニケーション内容の策定
    • (2)人材育成体系の効果的活用
    • (3)対外広報との相乗的なブランディングの実施
    •  
    • 【経審戦略小委員会】
    • (1)効果的活動方法の継続的検討
    •    関係官庁および関連団体との意見交換、情報収集等

  • [2]積女「ASSAL」
    • (1)交流会のブラッシュアップと具体的テーマの掘り起こし
    • (2)女性会員および女性資格者の増強策の検討(会員委員会との連携)
    • (3)シンボルとなるエンブレムの活用
    • (4)支部への展開
    • (5)大学への特別出前講座の実施
    • (6)他団体女子会との連携